生誕1000日見守りプロジェクト

プロジェクトについて

「わたしの困った」がみんなを救う、
「みんなの分かった」がわたしに届く

Society5.0は、日本政府が提唱する未来社会の構想で、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させることで、経済発展と社会課題の解決を同時に実現することを目指しています。この構想を母子保健分野に応用し、妊産婦や子育て中の親が安心して妊娠・出産・育児に臨める社会をつくることが、私たちの目標です。

この目標を達成するために、私たちのプロジェクトでは、産婦人科や小児科といった臨床医学の専門家をはじめ、AIや統計学、文化人類学、臨床心理学など多様な分野の研究者が連携しています。また、自治体、医療機関、企業とも協力し、地域全体で子育てを支える新たな支援システムを構築することを目指しています。

プロジェクトの中心となるコンセプトは、妊娠・出産・育児という個人的な経験を「みんなの役に立つ資源」として活用し、逆に「みんなの知恵や経験」を個々の親に届けるという循環を生み出すことです。この仕組みがうまく機能すれば、「わたしの困った」が誰かを救い、「みんなの分かった」がわたしを支える社会が実現できると考えています。

特に注目しているのが、「最初の1000日間」と呼ばれる、妊娠期から子どもが2歳になるまでの期間です。この期間は、母子の健康や子どもの成長において非常に重要とされています。しかし現代では、妊娠や出産、育児に多くの困難を感じている方が少なくありません。主な要因として、「孤立感」や「どうしてよいかわからない」といった不安が挙げられます。こうした不安を軽減するためには、必要なときに手を差し伸べられる環境づくりが欠かせません。

私たちのプロジェクトは、妊産婦や子育て中の親だけでなく、母子保健事業に携わる支援者にとっても重要な役割を果たします。具体的には、基礎的なデータを収集し、それを基にした新たな支援策を研究・実践することで、地域全体が一体となって子育てを支える仕組みづくりを目指しています。

Society5.0へ向けて、未来の母子保健の形をともに考え、地域全体でより良い子育て環境を実現していきましょう。

遠藤 誠之

大阪大学
Society5.0実現化研究拠点支援事業
「保健・予防医療プロジェクト
生誕1000日見守り研究」

研究代表者
遠藤 誠之
生誕1000日見守り研究のコンセプト

生誕1000日見守り研究のコンセプト

これまでの育児支援対策は、高齢出産や虐待、育児放棄といったハイリスクの妊産婦に対する支援が中心でした。我々は、全ての妊産婦が妊娠出産育児に対し何らかの困難感を抱えており、全ての妊産婦を対象とした支援が必要であると考えて研究活動を続けています。多くの妊産婦の子育ての体験や情報をサイバー空間に蓄積し、それをIoT技術を用いて、他の妊産婦の子育てに活用する。そのような、全ての妊産婦が安心して利用できる育児を支援する循環した繋がりを作ることを目的としています。
我々の基盤には、妊娠出産を経験する母親の育児に関する子育て適応包括尺度(CPRA: Comprehensive Scale for Parenting Resilience and Adaptation)という、新しく開発したツールがあります。このCPRAを中心に、妊産婦さん、家族、産婦人科医、小児科医、助産師、保健師、臨床心理士が、育児支援に利用できる場をWEB座談会やコンテンツとして提供しています。

プロジェクトメンバー

〈大阪大学 保健学科〉

  • プロジェクトメンバー

    遠藤 誠之

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、教授(産科学・婦人科学)

    「わたしの育児の経験」が誰かを助け、「みんなの育児の経験」がわたしに届く未来社会を目指して研究を進めています。研究者や支援者、地域の皆さんと協力し、妊娠・出産・育児を安心して迎えられる環境づくりに取り組んでいます。みなさんと一緒に、より良い未来を作っていきましょう。

  • 渡邊 浩子

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、教授(母性看護学・助産学)
  • 木村 正

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、招へい教授(産科学・婦人科学)
  • 大野 ゆう子

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、招へい教授(数理保健学)
  • 藤井 誠

    医学系研究科・保健学専攻再生誘導医学協働研究所/生命育成看護科学講座、招へい教授(数理保健学・臨床疫学)
  • 中本 剛二

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、特任准教授(医療人類学)
  • 常田 裕子

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、招へい准教授(助産学)
  • 永安 真弓

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、特任講師(基礎看護学・数理保健学)
  • 山田 加奈子

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、招へい教員(助産学)
  • 池田 明日香

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、特任研究員(数理保健学)
  • 星子 祐里奈

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、特任研究員(助産学)
  • 黒田 聡

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、招へい研究員(コミュニケーション技法)
  • 鳴戸 彩華

    医学系研究科・保健学専攻生命育成看護科学講座、博士後期課程(助産学)

〈大阪大学 産婦人科〉

  • プロジェクトメンバー

    小玉 美智子

    医学系研究科・産科学婦人科学教室、教授(産科学・婦人科学)

    私は産婦人科医ですが、第一子の育児は分からないことばかりで、とても孤独でした。仕事に復帰後は育児経験のある方々と話すことができ、その言葉にどれほど救われたか、今でも忘れられません。
    ちょっとしたことでも「誰かと共有することで、自分も誰かも救われる」。繋がりを通じて、育児を楽しいと思える社会を実現したいと願っています。

  • 味村 和哉

    医学系研究科・産科学婦人科学教室、特任准教授(産科学・婦人科学)
  • 増田 達郎

    医学系研究科・産科学婦人科学講座、助教(産科学・婦人科学)
  • 岡田 愛子

    医学系研究科・産科学婦人科学教室、助教(産科学・婦人科学)
  • 中川 慧

    医学系研究科・産科学婦人科学教室、助教(産科学・婦人科学)
  • 町村 栄聡

    医学系研究科・産科学婦人科学教室、特任研究員(産科学・婦人科学)

〈大阪大学 小児科〉

  • プロジェクトメンバー

    北畠 康司

    医学系研究科・小児科学教室、教授(小児科学)

    子どもが生まれてからの数年間はたいへんなことばかり。“育児は楽しい”なんて無邪気に言えるのは、のど元を過ぎて振り返る余裕ができてからです。だからこそ、そのまっただ中にいるお父さんお母さんに少しでも安心してもらえる、そんな言葉を届けたいと思います。

  • 山本 哲史

    医学系研究科・小児科学教室、助教(小児科学)
  • 川谷 圭司

    医学系研究科・小児科学教室、助教(小児科学)

〈大阪大学 医療情報部〉

  • プロジェクトメンバー

    武田 理宏

    医学系研究科・医療情報学、教授(医療情報学)

    お母様、お子様に関する診療情報や生活情報をスマートホンで共有し、皆さまの意思で必要な相手に共有することで、安心して妊娠・出産・育児を迎えていただく取り組みを行っています。研究者が登録された皆さまの情報を解析することで、未来の妊婦さんが、さらに良い環境で妊娠・出産・育児ができることを目指します。

〈大阪大学 人間科学部〉

  • プロジェクトメンバー

    平井 啓

    人間科学研究科・人間科学専攻、准教授(健康心理学)

    本研究に、一員として加わることを大変嬉しく思います。健康心理学の専門性を活かし、親子の心の健康を育み、より良い子育て行動を促す仕組み作りに貢献します。全ての親子が安心して、この大切な1000日間、またその後の日々を過ごせるよう、共に力を合わせ、明るい未来を築き上げていきたいと思います。

  • 管生 聖子

    人間科学研究科・人間科学専攻、准教授(臨床心理学)
  • 谷 晴加

    人間科学研究科・人間科学専攻・臨床心理学研究分野、特任研究員(臨床心理学)
  • 佐々木 由佳

    人間科学研究科・人間科学専攻・臨床心理学研究分野、特任研究員(臨床心理学)
  • 嶋 紋華

    人間科学研究科・人間科学専攻・臨床心理学研究分野、博士後期課程(臨床心理学)
  • 谷口 あかり

    人間科学研究科・人間科学専攻・臨床心理学研究分野、博士前期課程(臨床心理学)

〈大阪大学 情報科学研究科〉

  • プロジェクトメンバー

    尾上 孝雄

    情報科学研究科・情報システム工学専攻情報システム構成学講座、教授(情報科学)

    妊娠・出産・子育ての過程で、不安や負担を独りで抱え込まずに済むSociety 5.0の未来社会を目指し、情報科学の立場から研究を進めています。支援制度や相談先などの必要な情報が、本当に必要なときに届くとは限りません。私たちは、そんなあなたに届けられるよう、誰もが繋がり、支え合える技術基盤の構築に取り組みます。

  • 谷口 一徹

    情報科学研究科・情報システム工学専攻情報システム構成学講座、准教授(情報科学)
  • 西川 広記

    情報科学研究科・情報システム工学専攻情報システム構成学講座、助教(情報科学)
  • 澤 風馬

    情報科学研究科・情報システム工学専攻情報システム構成学講座、博士後期課程(情報科学)

〈理化学研究所〉

  • プロジェクトメンバー

    川上 英良

    生命医科学研究センター(IMS)予測医学特別プロジェクト・医療データ数理推論特別チーム、チームディレクター(医療情報学)

    妊娠・出産・育児にまつわる悩みや不安は、一人ひとり異なります。私たちは理化学研究所において培ってきたAIやデータサイエンスの力を活用し、そうした育児困難感の背景や傾向を見える化し、個別に合った支援のあり方を探っています。育児に寄り添う予測モデルやオンライン支援ツールの開発を通じて、妊産婦の方々が安心して日々を過ごせる社会を実現したいです。

  • 桜田 一洋

    生命医科学研究センター(IMS)予測医学特別プロジェクト、プロジェクトディレクター(医療情報学)
  • 華井 明子

    生命医科学研究センター(IMS)予測医学特別プロジェクト・医療データ数理推論特別チーム、客員研究員(医療情報学)
  • 石川 哲朗

    生命医科学研究センター(IMS)予測医学特別プロジェクト・医療データ数理推論特別チーム、客員主幹研究員(医療情報学)
  • 加藤 真奈美

    生命医科学研究センター(IMS)予測医学特別プロジェクト・医療データ数理推論特別チーム、嘱託職員
  • 盛 文香

    生命医科学研究センター(IMS)予測医学特別プロジェクト・医療データ数理推論特別チーム、テクニカルスタッフⅡ
  • 瀬川 楓

    生命医科学研究センター(IMS)予測医学特別プロジェクト・医療データ数理推論特別チーム、研究パートタイマーⅡ

〈東京科学大学〉

  • プロジェクトメンバー

    松﨑 政代

    保健衛生学研究科・リプロダクティブヘルス看護学分野、教授(助産学・リプロダクティブヘルス看護学)

    「こんな支えがあれば、妊娠・出産・育児がもっと安心で豊かになる」——その実現に向け、共に支え合える環境を新たに構築しましょう。

  • 河田 里奈

    保健衛生学研究科・リプロダクティブヘルス看護学分野、非常勤講師(地域保健学、公衆衛生看護学)

〈青山学院大学〉

  • 伊藤 雄一

    理工学部・情報テクノロジー学科、教授(ヒューマンコンピュータインタラクション)

〈京都橘大学〉

  • 黒瀧 安紀子

    看護学部、准教授(公衆衛生看護)
  • 下田 優子

    看護学部、専任講師(地域看護学・公衆衛生看護学)

〈大阪工業大学/大阪大学〉

  • 吉田 悦子

    知的財産学部、准教授(知的財産法・知的創造教育)

〈大阪大学 データビリティフロンティア機構〉

  • 小寺 秀俊

    データビリティフロンティア機構、特任教授(計算科学)
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